第一部　始動

降り頻る雨の中、傘を持たずに歩く。これが日課になっていた。今日は晴れだったのでお日様のもと散歩していると1匹の猫に遭遇した。

その猫はジッと私を見つめるだけで動かない。幼い頃から変わり者と呼ばれていた私はその猫と見つめ合っていた。

猫は急に、スイッチが入ったかのように動き出した。その場から立ち去ろうとしない人間に痺れを切らしたのだろうか

その猫は私を追い払うかのようにそそくさと茂みの中へ移動していく。

私は追いかけるつもりもなかったので近所の大規模な公園で散歩することにした。

大規模な公園、K公園としよう。K公園はいつも子どもやら老人やらが集結していて、人目が苦手な私には少しばかり荷が重い気もしたが、これも一種の修行だと思い散歩することにした。

最近になってようやく覚えた人目を気にしない技を使って散歩する。実に清々しく感じた。木の葉の揺れる音や小鳥の囀り、地上にあるすべての自然から力を貰えたような気分になった。

散歩が終わるとトボトボと歩いて帰るのだが今日はなぜか帰りたくなかった。このまま自然と同化していたかったからだ。だが私の理性がようやっと動作を始め、私を歩かせて家路に着かせた。