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更新頻度遅めです。
誤字など所々読みにくいかもしれませんがご了承ください。
それとアルファポリスにて魔王が幼女だから倒せない!を掲載しております。
是非読んで頂けたら幸いです。
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今から250年前。
俺はこの世界の勇者として当時の仲間達と一緒に当時この世界を恐怖のどん底へと落とし込んだ魔王カイゼルを倒してこの世界を救った。
だが、その戦いで俺は魔王カイゼルからある呪いをかけられた。
その呪いとは─
『不老不死になる呪い』
大怪我をしようとも血を大量に流そうとも崖から落ちようとも死ねない呪い。
魔王は死ぬ間際に
俺に向かってこう言った
「フハハハハ!勇者よ!もはや貴様はこれより天涯孤独だ!その孤独の中で永遠にもがき苦しみ続けるがよい!!」
この時の俺はこの魔王の言葉がどう言った意味を持っていたのかを理解できていなかった。
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この言葉の意味を理解し始めたのが丁度200年前のことだ。
共に魔王を倒すために命がけで戦った仲間達が寿命によって命を落としていった。
ゆっくりと一人、また一人と共に世界を救うと誓った盟友達が寿命という避けられない運命に倒れていく。
俺はそんな朽ちていく仲間たちをただ見届けることしかできなかった
移り変わる景色、古びていく建造物。
そんな中に1人。
容姿も心も何も変わらない自分だけがその過去という時間に閉じ込められていた。
「あれからもう250年か。」
盟友達が死んでから200年もの間、俺は人との関わりを一切持たず孤独で生きてきた。
理由は明白。
関わりを持ったところでその人達は必ず死ぬ
人との別れほど辛いものはない
寿命で尽きた盟友達を見てきて分かった。
だから俺は人との関わりを持たないことに決めたのだ。
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それにだ。
いくら魔王を討ち滅ぼし世界を救った英雄であっても不老不死と言うだけで国民からは気味悪く思われる。
また力を持った貴族や王からしてみれば自分らが生まれる前の過去の栄光だけで地位を持った英雄など自分たちの邪魔でしか無い。
そうして俺は人里離れた森の奥へ身を潜めて住むようになった。
誰とも関わりを持たぬために。
これは俺が思う国民達や貴族への配慮でもあり俺自身の願いでもあった。
「馬車の音だ。食糧がきたな」
不思議なことに
不老不死であろうと腹は減る。
俺は魔王討伐以来、その功績が讃えられ生涯の生活面の全面支援などを当時の国王に約束された。
その為毎週1回、こうして王国兵が食糧品や生活品などを届けてくれている。
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「勇者様~食糧をお持ちいたしました。」
「分かった。今開ける。」
俺はドアに手をかけ扉を開いた。
その時だった。
「はーーっ!!」
掛け声と共に鬼気迫る表情していた王国兵は俺に向かって剣を振り下ろしてきた。
「ぐっ。」
振り下ろされた剣によって俺の胴体は真っ二つになる。
だが、死ぬことはなかった。
「何の真似だ。」
俺の真っ二つになった胴体はゆっくりと肉同士が癒着し元の姿へと戻る。
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「やはり死にませんか。
まずはご挨拶を。
私は王国騎士団団長アクセル クライツ。
この度国王陛下よりあなたを始末せよとの勅令が出されました。
これにより我々王国騎士団はあなたを抹殺します。」
「国王が....俺を...?」
よく見ると外には俺の家を囲むかのように兵が陣取っていた。
数にして凡そ500。
恐らく騎士団総出の数だろう。
正直の話いつかはこうなることの予想はついていた。
貴族などの意思を考えれば妥当だからだ。
250年前の武勇だけで力を持つ俺の権力は貴族としては気に食わないのだろう。
その貴族達の反乱を恐れての俺の討伐。
そう考えれば大体の辻褄はあう。
「俺が死なないと分かっていてもお前は俺とやるのか?」
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「確かにあなたは死なない。ですが、体は死ななくとも心を殺せば死んだも同然です。」
俺を拘束し拷問へ掛け精神を壊すつもりか。
確かに俺は不死だが痛みを感じないわけでは無い。
死なないというだけで普通の人間同様に
痛覚は健在している。
「なるほどな。だが、忘れていないか?俺は魔王を討伐した勇者だ。お前らだけで俺を捕らえられるとでも?」
「それは愚問ですね。確かにあなたは勇者だ。ですがそれはあくまでも250年前までの話です。
我々は250年もの間技術は磨かれ魔法は進化し強化され続けた。ここで何もせず200年もの間引きこもっていたあなたとは違うのですよ。古き勇者様。」
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小馬鹿にするかのように軽く笑みを浮かべながらアクセルは俺にそう言った。
こいつのいう通り250年前の俺の魔法がこいつらに通用するかは分からないがこうなった以上やり合うしかない。
「仕方ねーか。それもまた一つの運命だということだ。行くぞアクセル。古き勇者の実力見せてやるよ。」
俺はゆっくりと構える。
実践戦闘など実に230年ぶりだ。
体が鈍ってなければいいがな。
そうして俺は聖剣ドラゴニグルを腰に掛けた鞘から抜き出し高らかにその矛先を天へ突き刺し詠唱を始める。
「我勇者也。闇を討ち滅ぼし正義の力
人々を守りし英雄なりて今ここで解放せん!」
詠唱が終わると同時に俺の身体から眩い光が溢れ出る。