小説投稿板@キャスフィ
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悪魔と恋人
コメントNo.1
悪魔と恋人
2コメント
2022/01/30(日) 21:40
1
ぽこ
2022/01/30(日) 21:27:15
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ジャック、と呼ばれて振り向く。そこには私の愛する妻が買い物かごをもって笑いながら立っていた。
「アンナ、買い物、お疲れ様。帰ろうか」
私は買い物かごをひょいっともってやり、二人並んで二人の住処へと歩き始めた。家の中のリビングでソファに座り、くつろいでいると、ソファの後ろに気配を感じて振り向いた。私は、黒づくめの頭か日本のうねる角を生やした男がスーッと現れるのを見た。男は言った。
「久しぶりだな、親友」
「デビット………」
「ちっと様子を見にきたんだよ。お前ときたら、人間の女に一目ぼれするなんて!んで一生一緒に居るとか言い出して」
私は笑顔で言った。
「私が悪魔であることは伝えてないよ。一生の秘密だ」
幸せな生活は、何十年と続いた。そして、ある日のことだった。
台所で倒れているアンナを見つけたのだ。
「………アンナ………?」
私は、その場にしゃがんでアンナをじっと見た。
アンナは、老衰でもう二度と動かなくなっていた。
私は棺に入れられ動かなくなり、冷たくなったアンナを見て涙を流していた。
「………ジャック。帰ろう」
振り向くと、親友のデビットが眉を寄せて佇んでいた。
私は泣き顔のまま若い姿に戻り、その場から姿を消して魔界と呼ばれる故郷へと還った。
それから長い長い年月、数えきれない日にちが過ぎた。
それでも私はアンナへの想いを抱きしめるように持ち続けた。
300年。あれから300年経った今、私はアンナが生まれ変わったと知った。私は、会う居には行けないと思った。アンナはもう別の人間。
自分とはもう関係のない人間なのだ。
私は、アンナ………ジェニファーの事を見守ろう。
それしか、できないから。
「ジャック」
私は振り向いた。そこには、デビットの真剣な顔があった。
「お前の妻だった女に、得体のしれないやつが近寄ってるんだ。行ったらどうだ?」
それなら………
「まあ、…見に行く」
私はすぐさま地界へと姿を消した。
懐かしい光景だった。どこにいるのか。………いた。アンナだ。
生まれ変わっても顔は変わらない。あの日々が思い出される。
その時、何かの気配を感じた。
「ジェニファー!」
若い男の声が響いた。
近寄っているのは、この男か…?どうやら恋人同士のようだった。
するとなぜか、男は私の方を見た。
しばらく目が合った後、男はニッと笑ったのだった。
「ちょっと待ってて、ジェニファー」
「うん、分かった。早くしてね」
アレンと呼ばれた青年は、私の所へ歩いてやってきた。
彼は言った。
「お前こそ何をしようとしている?私は、夫だった者だ」
「へえ…お前、じゃまだな」
次の瞬間、指一本触れられていないのに、私の体は後ろにふっ飛んだ。
アレンはにこにこしながら言った。
「うっとおしいから、殺してあげる」
「お前、私が邪魔だと!?アンナに何をする気だ」
彼は笑いながら言った。
「教えてやってもいいぞ。あの女はいい女だ。俺のコレクションに加えるんだよ。言いなりにするためになあ、あの女の魂をもらうつもりさ。さ、死んでね」
私は人相を変えた。アンナは私が守る………
私は彼に向かって手をかざし、心臓の位置に向かって思い切り力を放った。
しかし次の瞬間、アレンは薄笑いを浮かべながら手を大きく払った。
力は倍になって跳ね返り、私の心臓をめがけて襲い掛かった。
私は立っていられなくなり、その場に倒れ、血を吐き苦痛に悶え狂いsんだ。
アレンは、楽しそうに動けない私の体を足で踏みにじった。
「じゃあね、ねーんね」
とどめをさされる………
その時、
「やめろ!!!」
という声とともに、デビットがスーッと現れた。デビットは印を結び、アレンに攻撃しようとした。アレンは言った。
「なんだ。つまらない。じゃあね」
アレンは、消えた。
「大丈夫か?相当に強い力を持ってるぞ…あの男」
「デビット…アンナは………!?」
デビットは、アンナのいた場所に見に行った。
そして、帰って来たデビットが言った言葉は。
「…いない。連れていかれた…」
連れて…行かれた…
私はさらに険しい顔で言った。
「跡をたどろう」
デビットは言った。
「おそらく、跡はけしてあるだろう。しかし、念のためにやってみる」
デビットは、印を結び、目を閉じた。
それからしばらくして、デビットは目を開けてから言った。
「アンナの跡は消してある。しかし…まだ連れてこられたばかりの女のッ声が聞こえた。助けて…と」
「それなら、どうすれば…」
「その女が連れていかれるとき、俺たちみたいなのが付いていたとは思われない。油断していただろう。どこの誰かは、すぐに分かる。その女も…救えるならば…」
私は思った。なんて頭のいい男だ。頼れるな…
私は言った。
「…やるぞ。あの男が感づく前に!!!」
「ジェニファー、起きて」
ジェニファーは目を覚ました。辺りを見回した。震えている女の姿が目に入った。アレンは笑った。
「ここはな、人間がピクニックには到底これない場所だ。だから、コレクションの置き場所にちょうどいいんだよ」
アンナは言った。
「来れないって…アレン、あなたは…何なの?こんなところに連れてきて、私をどうするの?」
アレンはジェニファーに歩み寄り、しゃがんでニッと笑った。
「教えてあげる。見てごらん」
ジェニファーは、アレンが顎で差した方を見た。そこには、数人の女が目を開けて並んで横たわっていた。
「君たちも、あの子たちの中に入れるんだよ」
アレンは立ち上がった。
「じゃ、始めるか。君からだよ」
ジェニファーは目を大きく見開いた。
「い…いや!!いやよ!!!」
しばらくして、
「ん?」
アレンは目を開けた。
「…来てたのか…」
アレンが後ろを向くと、ジャックが印を結んで立っていた。
アレンは笑った。
「あんた…ジャマしたら、預かってる女共の魂を、…消しちゃうよ?最低だな。自分たちだけ良ければいいなんてよ」
「バカはお前だよ。女どもを見てみな」
アレンはえ、という顔をしてそちらを見た。一人もいない。
少し前デビットは、ジャックと共に気配を消しながらたどり着いた。
デビットは気づかれない様に一瞬で女たちの魂のありかを悟り、女たちの体も目に入った瞬間、遠くへ運んだのだった。
それを知ったアレンの顔は、通常の人間が見たら凍り付くほど恐ろしい怒りの表情をしていた。ジャックは眉一つ動かさず言った。
「アンナに,触るな」
アレンは、言った。
「お前、俺を怒らせたな…」
「…さっきのようにやられはしない。アンナのために、お前を滅する」
「俺に勝てると思ってるんだな?」
「うるさい」
このアレンは、私よりも、はるか上手だ。アンナを救うには、デビットの手助けが必要だ。それまで、なんとかしてダメージを与え、戦いをながびかせよう。
その時、アレンの目からジャックの姿が消えた。これで、どこに向かってどう攻撃すればいいのか、分からない………。
「考えたな。どこだ」
ジャックは、アレンの背後に忍び寄っていた。アレンの肉体にダメージを与えるために、手には剣を持っていた。
アレンは意識を集中し、ジャックの居場所を悟ろうとした。
今だ。ジャックは印を結んだ。
アレンの目に、木の陰に隠れる、ジャックの姿が映った。
アレンは、恐ろしい形相で、そちらに向かって、手をかざした。
今だ!ジャックはアレンに襲いかかった。
アレンは、ハッとして、間一髪で剣をかわした。失敗だ!!
「お前!!」
アレンとジャックは目が合った。アレンの目が光った。
ジャックは、力なく座り込んだ。手から剣は、離れていた。
アレンは、優し気に微笑んだ。
「お前、アウトだよ」
それから、ジェニファーとジャックを、交互に見た。
「お前の大事な女を、お前の目の前で、俺のオモチャにしてやるよ…」
目を見開いて怯えていたジェニファーは、ボーっとしはじめた。
私は、冷静になった。アンナ、さようなら。今までも、これからも、
お前の幸せを願っている。私の最後の切り札………
私が死んでしまうほどの力をぶつける、この術を使えば………!!!
次の瞬間、アレンは、目がつぶれるほどの閃光にのまれた。
「ありゃ??」
デビットがそこに駆け付けた時、見たものは、アレンとジャックが横たわっている、光景だった。
「ジャック…?」
ジャックは、薄くめをあけたまま、死んでいた。
「死…んで…」
デビットは、アレンに恐る恐る歩み寄った。
ああ…死んでいる…
ジャック…命と引き換えに…
デビットは、涙をこぼした。
-50年後ー
ジャックは人に生まれ変わっていた。
生まれたてのジャックは、両親にピーターと名付けられた。
「わーっおくれるっ行ってきまーす」
ピーターは、勢いよくドアを開け、ぶかぶかの制服を身にまとい、腕時計を見ながら走り出した。
その時ジェニファーは、結婚、出産を経験し、それから孫を可愛がり、72歳になっていた。
ピーターは、息を切らせながら、ジェニファーと同じ道を反対側から走っていた。狭くなる、二人の距離。そしてやがて二人は、すれ違った。
二人は何も分かっていなかった。
かつて愛し合った事も
命を捨ててまで守り抜いた事も
そして、真実の別れですら。
二人の体を、秋風が吹きつけていった。
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