小説投稿板@キャスフィ
モブはモブらしく陰で勇者を支えます。
32コメント 2023/02/11(土) 20:09
  • 27    2022/08/22(月) 21:19:58  [通報
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    それは知能の低い低級の魔獣にはありえない行動だ。
    本来の低級の魔物や魔獣は知能が著しく低い。
    それを踏まえた上で俺は村を柵で囲った。
    知能の低い低級の魔獣なら無造作に柵へ突っ込みそれで終わるからだ。
    だが、これは予想外の出来事だ。
    低級の魔獣が知能を使い5匹のボアウルフを犠牲にして柵を乗り越えるための踏み台を作り、研がれた先端を肉壁で埋め込み攻め込むための道を作らせる。
    そんな事を指示出来るのは上級の魔物や魔獣だけだ。
    少し考えればわかる可能性を俺は考えていなかった。
    きっとあの群れのボスは上級の魔獣だろう。
    そう考えている間にもボアウルフ達は同胞の死体を足場にして村の中に入ってくる。


    「うわー!来るな来るな!」
    「や、やめろー!」

    その予想外の行動に驚き呆気に取られた付近にいた村人達の肉体は次々に噛み引きちぎられる。
    丸腰の俺たち村人では低級モンスターすら勝てないほどの差がある。
    ここは今すぐに逃げないと全滅してしまう。


    「ちっ、広場に行って全員村を捨てて逃げるように伝えてくれ!」

    苦渋の決断だがこの状況ではもう村を守り抜く事は不可能だ。
    ならばこの村を捨て王都を目指して逃げるのが最善策。
    そう思い俺は逃げ惑う村人達に逃げるように指示した後ボアウルフの方を振り向く。

    これは俺が招いた結果だ。
    低級魔獣とは言え知能の高い魔獣が率いている可能性を考えていなかった。
    俺がその可能性を考慮していれば・・・こんな状況にはなっていなかったかもしれない。
    だからこれは俺の失態。
    俺がここで責任を持って食い止めなきゃいけない。

    だから──
    俺は近くに落ちていた木の棒を拾って構えた。

    「ここで1匹でも多く倒してやる。」
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