海と花束 準備/感想
準備・感想スレ用ですぞ!!
異世界探偵 準備感想スレ
コメントNo.8
異世界探偵 準備感想スレ
46コメント
2022/02/10(木) 20:25
8
リン
2021/03/11(木) 18:27:46
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第3話の下書き。「最後の女になってあげる」というありきたりでくさいセリフが微グロな描写を含みます。
第3話 「ブレスレットに囚われた略奪愛」
窓にかかる風鳴りが、茉希の浅い眠りを破った。
暗闇の中、布団を被ったまま耳を澄ますと、吹き寄せる風に乗って無数の水滴が窓ガラスにしたしたと乗る音が聞こえた。異世界では雨が降っていた。
横でルシーが眠っている。この部屋には二つのベッドが並んでいる。1つはルシーのベッドで、別のベッドを茉希が使っている。窓を反らすようにルシーは寝返りを打っていた。
茉希はこの異世界で探偵に任命された。
どうせなら、転生したり召喚されたり異世界イベントが発生してもいいのに。
現実世界でパスケースの持ち主を当てた茉希の推理力に感心してルシーの住む異世界に連れられた。
ルシーは微動だにしない。
そんな物思いにふけていると、雨は降り続けているが部屋の中が明るくなった。
ドアをノックする音が聞こえ、外から聞き慣れた声がした。
「お嬢様、起床時刻です。」
ふにゃあ、と声を上げて彼女は起きた。
「トルソーおはよう」
トルソーと呼ばれる人物は、彼女に着替えの服装を渡した。
「あら、ありがとう。」
「トルソー、いつものブレスレットを付けていないわね。」
「お嬢様、目が利きますね。ここ最近、ブレスレットを何者かに奪われたんです。」
「ん。名探偵の仕事が来たわね。」
「…………!」
「トルソー、茉希がブレスレットを奪った犯人を探してくれるわ。」
「私、そんなこと一言も。」言ってません、という言葉を飲み込んだ。
「ブレスレットを探してくれるんですか。ありがとうございます。」
「その前に朝食に向かいましょう。」
朝食を済ませた。バイキングだった。
「あの、トルソーさん、ブレスレットをなくした時のことを覚えていますか。」
トルソーは首をかしげて考え込んだ。
「特に何も…。ただ、昨日の夜の任命式の時はありました。」
「今日起きた時には、ブレスレットを付けていませんでした。」
「それでは、任命式にいたギャラリーか任命式の時の聖騎士、精霊使い、魔王、回復術者、魔女あたりが怪しいですね。」
ルシーは口を挟んだ。
「ギャラリーはブレスレットを奪えないわ。」
「それはまた、なぜですか。」
「ギャラリーが帰った後はトルソーはブレスレットを付けていた、と証言するわ。」
「そうですか。実はこのブレスレット亡き妻の形見なんです。」
昨日の任命式にいた聖騎士、精霊使い、魔王、回復術者、魔女を会議室に招集された。
この四人のうち、魔女と回復術者は腕にブレスレットを付けていなかった。
翌日、調査を続けた。異世界の警視庁的なところが聖騎士、精霊使い、魔王、回復術者、魔女の家を家宅捜査している。調査中、トルソーにブレスレットのことを詳しく聞いた。
「亡き妻の形見で大切なものでした。亡き妻のことは忘れません。しかし、妻が亡くなった後、お付き合いしている女性がいます。その女性は私のブレスレットのこと、亡き妻のことを受け入れてくれました。」
茉希は聞いた。「お付き合いしている女性は?」
「魔女のおば様にあたる女性です。」
任命式にブレスレットがギャラリーを含めてそれぞれの異世界住人に渡された。
「魔女のいとこの娘がブレスレットを付けていなかったのは、何者かがなりすましていたのでそもそもブレスレットをもらっていないかもしれないです。」
固定電話が鳴った。
「回復術者です。すみません。家宅捜査中に新しく渡されたブレスレットが見つかりました。ほんとひやひやしましたよ。」
犯人は、魔女だ。魔女は宮殿に扉をばっと開いた。魔女のおば様はいとこの娘の魔女に変身していたらしい。
「トルソーの最後の女になってほしいの。さあ、私だけを愛して。」
魔女のおば様は赤いドレスを身にまとっていた。
「私がブレスレットを付けているのが真実よ。トルソーの最後の女になってあげる。」
魔女がトルソーに近付くと、トルソーの腕を見て後ろに倒れた。
ばきゅーん。
「な、なんでブレスレットを付けているの…。私が奪った愛とブレスレットは夢…?」
と言いながら意識を失った。魔女の後ろには護衛がいた。
おそろいのブレスレットは、亡き妻のものと自分のものを持っていた。だから、自分のものが予備にあたるだろう。トルソーはブレスレットを付けていた。護衛は、魔女が付けているブレスレットを外してトルソーに授けた。
「ブレスレットが戻ってきて良かったです。」
「茉希さんありがとう。あなたは有能な探偵です。」
「私は、これを機にブレスレットを金庫に保管して、妻のことを終わらせて前を向くことを存じます。」
(第3話終わり)
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